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学習Tips
多読でリスニング力は伸びる?研究データで検証

「多読を続けているのに、リスニングが全然伸びない」。そう感じたことはないだろうか。

実は、多読単体のリスニングへの効果は限定的だ。目で読む力と耳で聴く力は、使う回路が違う。読めるようになっても、聞き取れるようにはならない。

ただし「読みながら聴く」という方法を加えると、状況は一変する。この記事では、2023年と2025年の研究データをもとに、多読とリスニングの関係を数字で検証する。読み終えるころには、今日から何をすべきかが明確になるはずです。


多読だけではリスニング力は伸びにくい

結論から言うと、多読単体のリスニングへの直接効果は限定的だ。

多読はあくまで「読む力」を鍛えるトレーニング。語彙力や読解速度には確かに効果がある。しかしリスニングには「音声処理」という別のスキルが必要になる。

2025年に発表されたメタ分析(Springer掲載、複数の研究を統合した大規模調査)でも、多読はリーディングと語彙には有意な効果が確認された一方で、リスニングへの効果は他のスキルと比べて小さいと報告されている。

理由はシンプルだ。多読では音声に触れない。英語の音のつながり(リンキング)、弱形(弱く発音される機能語)、リズムといった要素は、文字を読むだけでは身につかない。

参考: Educational Psychology Review — Extensive Reading Meta-Analysis(2025)

「読みながら聴く」で効果が急上昇する【RWLとは】

多読にリスニングを掛け合わせると、効果は劇的に変わる。そのカギが**RWL(Reading-While-Listening)**だ。

RWLとは、英語の文章を目で追いながら同時に音声を聴く学習法のこと。オーディオブックを聴きながら原文を読む、字幕付き動画を視聴する、といったやり方がRWLにあたる。

2023年にMDPI(学術出版プラットフォーム)に掲載された研究では、RWLの効果を実験的に検証している。結果は以下のとおり。

学習法リスニングスピーキング
RWL(読みながら聴く)対照群を上回る対照群を上回る
多読のみ限定的な効果限定的な効果
リスニングのみRWLより低いRWLより低い

注目すべきは、音声付き多読 > 多読のみ > リスニングのみという効果の順序だ。多読とリスニングを別々にやるより、同時に行う方が効果が高い。1 + 1が3になるイメージに近い。

参考: Education Sciences — Reading-While-Listening 研究(2023)

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なぜRWLはリスニング力を伸ばせるのか

RWLがリスニングに効く理由は3つある。どれも「読む」と「聴く」を同時に行うからこそ生まれる効果だ。

1. 文字と音声がつながる

英語学習者の多くが抱える問題がある。「読めばわかるのに、聴くとわからない」という現象だ。

原因は、頭の中で文字と音声が結びついていないこと。RWLでは文字を見ながら同時に音声を聴くため、スペルと発音のマッピングが自然に強化される。「こう書いてある単語は、こう発音されるのか」という気づきが積み重なっていく。

2. 音声が新しい語彙への注意を向ける

多読で読み飛ばしてしまう未知の単語も、音声があると耳が反応する。2023年のMDPI研究では、音声が新出語への注意を向ける効果があると報告されている。

目で見て「知らない単語だな」と思った瞬間に、音声で発音を聴く。視覚と聴覚の両方から同じ単語にアクセスすることで、語彙の定着率も上がるのです。

3. 音声がペースメーカーになる

多読の弱点の一つに「自分のペースで読める」ことがある。これは長所でもあるが、遅すぎるペースが癖になるリスクもある。

RWLでは音声が一定のペースを強制する。止まって考え込む余裕がないため、英語を英語のまま処理する「直読直解」のスキルが鍛えられる。2025年のメタ分析でも、多読グループの**読解速度が68wpmから128wpmに向上(約1.9倍)**した研究が引用されている。音声付きで読めば、この効果はさらに加速する。

RWLの具体的な実践法【3ステップ】

RWLは特別な教材がなくても今日から始められる。効果的な取り組み方を3ステップで紹介しよう。

ステップ1: 自分のレベルに合った素材を選ぶ

素材選びが最も重要だ。理想はテキストの95%以上の単語を知っている状態。知らない単語が多すぎると、音声についていけず挫折する。

Graded Readers(レベル別読み物)の音声付き版、字幕付きのYouTube動画、Podcastのトランスクリプトなどが使いやすい。大事なのは「少し簡単かな」と感じるレベルから始めること。

ステップ2: まず音声なしで1回読む

いきなり音声と一緒に読むと、どちらにも集中できなくなることがある。まず音声なしでさっと目を通し、内容を大まかにつかんでおこう。

2回目に音声と合わせて読むことで、理解度が格段に上がる。1回目は「内容の把握」、2回目は「音と文字のマッピング」と目的を分けるのがコツだ。

ステップ3: 1日15分から始める

言語学者Krashenは「楽しめば楽しむほど、習得は良くなる」と述べている。義務感で1時間やるより、好きなコンテンツで15分やる方が効果的だ。

最初から長時間を目標にしない。まず2週間、1日15分だけ続けてみてほしい。習慣が定着すれば、自然と時間は伸びていく。

日本人学習者にこそ多読×リスニングが効く理由

日本の英語学習者には、多読×リスニングの組み合わせが特に効きやすい。データがそれを裏付けている。

2025年のメタ分析では、EFL環境(日本のように日常で英語を使わない環境)の方がESL環境(英語圏に住んでいる環境)よりも多読の効果が大きいと報告されている。

理由は明快だ。ESL環境では日常生活で大量の英語に触れるため、多読の「上乗せ効果」は相対的に小さくなる。一方でEFL環境、つまり日本では英語に触れる時間が圧倒的に少ない。だからこそ、多読とRWLで意識的にインプット量を増やすことが大きな差を生む。

通勤電車でオーディオブックを聴きながら読む。昼休みに字幕付きのTED Talkを15分観る。日本にいながらでも、RWLなら質の高い英語インプットを確保できるのです。

多読の効果について詳しくは「英語多読の完全ガイド」でも解説しているので、あわせて参考にしてほしい。

まとめ:多読×リスニングで英語力を底上げしよう

この記事のポイントを整理する。

  • 多読単体のリスニング効果は限定的。「読む力」と「聴く力」は別の回路を使う

  • RWL(読みながら聴く)を加えると、リスニング・スピーキング両方で効果が上がる

  • 効果の順序は「音声付き多読 > 多読のみ > リスニングのみ」

  • RWLは文字と音声のマッピング、語彙への注意、読解速度の向上を同時に実現する

  • 日本のようなEFL環境ほど、多読×リスニングの効果は大きい


多読でリスニング力を伸ばしたいなら、答えは「音声と一緒に読む」こと。やるべきことはシンプルだ。

とはいえ「自分のレベルに合った音声付き素材を見つけるのが面倒」という人も多いと思う。僕自身、Graded Readersの音声CDを探し回った経験がある。

最近はAIを活用して、好きなコンテンツを自分のレベルに合わせて読める環境が整ってきている。たとえばTa-dokuでは、YouTubeの動画やWeb記事をAIで要約・レベル調整し、音声と一緒に読む多読体験ができる。興味のあるコンテンツだから続けやすく、RWLの効果も自然に得られるのがポイントだ。

まずは今日、1本だけ音声付きの英語コンテンツを「読みながら聴いて」みてください。その15分が、リスニング力を変える最初の一歩になります。

Aki

Aki

Ta-doku 開発者 / 英語多読実践者

英語多読歴3年。自身の多読経験から生まれた課題を解決するため、YouTube×AI多読サービス「Ta-doku」を開発・運営しています。

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