
英語多読の完全ガイド|効果・やり方・教材まとめ
「英語を読むのが遅い」「長文を見ると集中力が続かない」。英語多読に興味はあるけれど、何から始めればいいのかわからない人は多い。
実はその悩み、読み方を変えるだけで解決できる。難しい英文を頑張って読むのではなく、やさしい英語をたくさん読む。たったそれだけで、英語力は着実に伸びていく。
この記事では、英語多読の基本的な考え方から、効果、やり方、おすすめ教材、始め方までを一つの記事にまとめた。英語多読の全体像をつかむことで、自分に合った学習プランが見えてくるはずだ。
英語多読とは?基本の考え方
英語多読とは、やさしい英語の本をたくさん読む学習法である。辞書を使わず、楽しみながら大量の英文に触れることで、英語を英語のまま理解する力を育てる。
多読の考え方を支えるのが「多読三原則」と呼ばれるルールだ。
多読三原則
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辞書を引かない --- わからない単語があっても、前後の文脈から推測する
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わからないところは飛ばす --- 完璧に理解しようとしない。大意がつかめればOK
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つまらなければやめる --- 合わない本に固執しない。次の本へ進む
従来の英語学習では「一文一文を正確に訳す」ことが重視されてきた。多読はその逆のアプローチを取る。正確さよりも「量」と「楽しさ」を優先するのが最大の特徴だ。
言語学者のNation(2001)は、読んでいる英文の98%を理解できる素材を選ぶのが効果的な多読の鍵だと述べている。知らない単語が1ページに2〜3語程度なら、辞書なしでも内容を楽しめるレベルである。
多読は「勉強」というより「読書の習慣」に近い。英語に対するハードルを下げ、日常的に英語に触れる環境を作ることが目的だ。
英語多読で得られる5つの効果
英語多読の最大の効果は、英語を日本語に訳さず直接理解する「英語脳」が形成されることだ。
具体的には、以下の5つの効果が研究や実践者の報告で確認されている。
1. リーディング速度の向上
大量の英文に触れ続けると、英語の語順のまま意味を処理できるようになる。いちいち日本語に変換する必要がなくなり、読むスピードが格段に上がる。
2. 語彙力の自然な増加
同じ単語に繰り返し出会うことで、意識的に暗記しなくても語彙が定着していく。単語帳では身につきにくいコロケーション(単語の自然な組み合わせ)も自然と覚えられる。
3. 英語脳の形成
50万語を超えるあたりから「英語を英語のまま理解できる」感覚が芽生えるという報告が多い。英語ニュースやYouTubeのコメントも、日本語を介さずスラスラ読めるようになる。
4. リスニング力の向上
英語の語順で理解する力がつくと、リスニングにも波及する。読んで理解できる英文は、聞いても理解しやすい。多読とリスニングの相乗効果は多くの学習者が実感している。
5. 英語への抵抗感の軽減
やさしい本から始めて「読めた」という成功体験を積み重ねると、英語への苦手意識が薄れる。英語学習を続けるうえで、心理的なハードルが下がる効果は大きい。
SSS多読法では「100万語」が一つのマイルストーンとされている。実際に100万語を達成した学習者の中には、TOEICスコアが350点から820点に上がった事例も報告されている。0語から100万語までの具体的な道筋は、多読100万語ロードマップで詳しく解説している。多読とTOEICスコアの関係については、英語多読でTOEICは上がる?も参考にしてほしい。
英語多読の効果についてさらに深く知りたい方は、英語多読の効果を科学的に解説した記事で研究データとともに詳しく紹介している。
英語多読の正しいやり方
英語多読で成果を出すには、「自分のレベルに合った本を選ぶこと」が何より重要だ。
ここでは、多読の基本的なやり方を整理する。
レベルの目安:YLを活用する
多読教材には**YL(読みやすさレベル)**という指標がある。YLは0.0〜9.9の数値で本の難易度を示すもので、数字が小さいほどやさしい。
| レベル | YL | 語数の目安 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 超初心者 | 0.0〜0.9 | 100〜500語 | 英語に自信がない人 |
| 初心者 | 1.0〜2.0 | 500〜3,000語 | 中学英語がわかる人 |
| 中級者 | 2.5〜4.0 | 3,000〜15,000語 | 高校英語がわかる人 |
| 上級者 | 4.5以上 | 15,000語以上 | ペーパーバックに挑戦したい人 |
やり方の基本ステップ
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98%理解できるレベルの本を選ぶ --- 知らない単語が1ページに2〜3語以内が目安
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辞書を使わずに読み進める --- 多読三原則を守る
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1日15〜30分を目標にする --- 短時間でも毎日続けることが大切
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読んだ語数を記録する --- モチベーション維持と進捗管理に効果的
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つまらなければすぐ次の本へ --- 義務感で読まない
避けるべきやり方
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背伸びして難しい本を読む
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辞書を引きながら精読モードで読む
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1冊を完璧に理解しようとする
多読は「量」で勝負する学習法だ。1冊の完璧な理解よりも、10冊の快適な読書を選ぶほうが成果につながる。
やり方をもっと具体的に知りたい場合は、英語多読の具体的なやり方を参考にしてほしい。
英語多読おすすめ教材【レベル別】
多読の効果を最大限引き出すには、レベルに合った教材を選ぶことが不可欠である。
ここでは、初心者から上級者まで幅広く使える定番教材を紹介する。
初心者向け(YL 0.0〜1.5)
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Oxford Reading Tree(ORT) --- イギリスの小学校で副読本として使われるシリーズ。絵が豊富で、1冊の語数が少ないため達成感を得やすい。多読入門の定番中の定番だ
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ラダーシリーズ --- 日本人学習者向けに作られたレベル別読み物。巻末にワードリストがあり、辞書なしで読める工夫がされている
中級者向け(YL 2.0〜4.0)
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Penguin Readers --- 名作文学やノンフィクションを段階別にリライトしたシリーズ。ジャンルの幅が広く、自分の興味に合った本を見つけやすい
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Magic Tree House --- アメリカの児童書ベストセラー。冒険ストーリーで読みやすく、多読中級者に人気が高い
上級者向け(YL 4.5以上)
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Harry Potter シリーズ --- 巻を追うごとに難易度が上がるため、成長に合わせて読み進められる。ストーリーの力で最後まで読み切れる人が多い
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一般のペーパーバック --- 興味のあるジャンルの洋書に挑戦。ミステリー、SF、ビジネス書など、好きなジャンルから選ぶのがコツである
教材の選び方やレビューを詳しく知りたい方は、英語多読おすすめ教材をレベル別に紹介をチェックしてほしい。
英語多読に使えるアプリ
スマホアプリを活用すれば、多読のハードルはさらに下がる。通勤時間や寝る前の10分で手軽に英語を読める環境が作れる。
おすすめのアプリを紹介する。
Langaku
マンガで英語多読ができるアプリ。日本語と英語を切り替えながら読めるので、初心者でも取り組みやすい。人気マンガのタイトルが揃っており、読む楽しさが続きやすいのが特徴だ。
レシピー(旧POLYGLOTS)
英語ニュース記事を使った多読ができるアプリ。自分の興味のあるジャンルの記事を選んで読める。ワンタップ辞書機能があり、どうしてもわからない単語だけサッと確認できる。
Kindle + 辞書機能
Amazon Kindleアプリは、多読ユーザーにとって強力なツールである。洋書を購入してすぐ読み始められる。単語を長押しするだけで辞書が表示される機能は、多読の「辞書を引かない」原則を守りつつ、最低限の補助を得るのに便利だ。
アプリの詳しい比較やおすすめの使い方は、英語多読に最適なアプリで紹介している。リーディング力を総合的に伸ばしたい方は、英語リーディングアプリおすすめ7選も参考になるはずだ。YouTubeを活用した英語学習に興味がある方は、YouTube英語勉強法もチェックしてほしい。
初心者が英語多読を始めるステップ
英語多読は、正しい順序で始めれば誰でも継続できる。ポイントは「小さく始める」ことだ。
ステップ1:YL 0.0〜1.0の絵本から始める
最初はOxford Reading Treeのステージ1〜3がおすすめだ。1冊あたりの語数は100〜500語程度。5分もあれば1冊読み終わる。「英語の本を1冊読めた」という体験が、次の1冊への原動力になる。
ステップ2:1日15分を習慣にする
最初から長時間読む必要はない。1日15分、まずは1週間続けてみる。朝の通勤時間、寝る前のリラックスタイムなど、既存の習慣に組み込むと定着しやすい。
ステップ3:読んだ語数を記録する
語数を記録すると、積み重ねが目に見える形になる。SSS多読法では最初のマイルストーンは30万語。達成までの目安は、1日15分のペースで約3〜6ヶ月だ。
ステップ4:レベルを少しずつ上げる
読んでいて「簡単すぎる」と感じたら、次のレベルへ進む。目安は、ページの98%以上をストレスなく読めるかどうか。古川研究(2011年)では、中学生が1.5年間の多読で高校生レベルの英語力に到達した報告もある。
初心者向けの始め方をさらに詳しく解説した記事は、英語多読を初心者が始める方法を参照してほしい。
多読と精読の使い分け
多読と精読は「対立する方法」ではなく、「補い合う方法」だ。どちらか一方ではなく、両方を組み合わせることで英語力は効率的に伸びる。
多読の役割
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大量のインプットで英語処理速度を上げる
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語彙や表現を文脈の中で自然に覚える
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英語を読む「体力」を鍛える
精読の役割
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文法構造を正確に理解する
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未知の単語を深く学ぶ
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論理展開や修辞技法を分析する
効果的な使い分けの目安
| 多読 | 精読 | |
|---|---|---|
| 素材の難易度 | 98%理解できるレベル | 70〜90%理解できるレベル |
| 読み方 | 辞書なし・速く・たくさん | 辞書あり・じっくり・少量 |
| 目的 | 流暢さ(fluency) | 正確さ(accuracy) |
| 時間配分の目安 | 全体の70〜80% | 全体の20〜30% |
僕のおすすめは、学習時間の7〜8割を多読に、残りの2〜3割を精読に充てる配分だ。多読で大量にインプットしながら、精読で理解の精度を補強するイメージである。
多読と精読の違いや使い分けについて詳しくは、多読と精読の違いを詳しく比較を読んでみてほしい。
英語多読が続かないときの対処法
英語多読は「続けること」が最大の課題だ。効果を実感するまでに時間がかかるため、途中で挫折する人は少なくない。
ここでは、よくある「続かない原因」と対処法をまとめる。
原因1:レベルが合っていない
最も多い原因がレベルのミスマッチだ。難しすぎる本を選ぶと、読むのが苦痛になる。対処法はシンプルで、思い切ってレベルを下げること。「簡単すぎるかも」と思うくらいがちょうどいい。
原因2:義務感で読んでいる
「毎日30分読まなければ」というプレッシャーは逆効果になる。多読三原則の「つまらなければやめる」を思い出そう。読みたい本を、読みたいときに読む。長続きの秘訣はこのスタンスだ。
原因3:効果が見えない
語数を記録していないと、自分がどれだけ読んだのか実感しにくい。読書記録アプリやスプレッドシートで語数を管理すると、成長の軌跡が可視化される。10万語、30万語、50万語とマイルストーンを設定するのも効果的である。
原因4:本の入手が面倒
図書館に通うのが大変、洋書が高いといった物理的な障壁も見逃せない。電子書籍やアプリを活用すれば、自宅にいながら大量の多読教材にアクセスできる。コストを抑えて多読を始めたい方は、英語多読を無料で始める方法で無料サイト・アプリをまとめている。
英語多読の挫折を防ぐための具体的な対策については、英語多読が続かない原因と対策でさらに詳しく解説している。
まとめ
この記事では、英語多読の全体像を網羅的に解説した。要点を振り返ろう。
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英語多読は「やさしい英語をたくさん読む」学習法。多読三原則(辞書を引かない・わからないところは飛ばす・つまらなければやめる)が基本ルール
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効果は科学的にも実証済み。リーディング速度、語彙力、リスニング力の向上に加え、英語への抵抗感が軽減される
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98%理解できるレベルの素材を選ぶのが成功の鍵。YL指標を活用して自分に合った教材を見つけよう
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初心者はYL 0.0〜1.0から、1日15分でスタート。小さく始めて、読んだ語数を記録しながらレベルを上げていく
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多読と精読を7:3の割合で組み合わせると、流暢さと正確さの両方が伸びる
まずは1冊、やさしい英語の本を手に取ってみてほしい。Oxford Reading Treeの最初のステージなら、5分で読み終わる。その5分が、英語力を変える最初の一歩になるはずだ。
Aki
Ta-doku 開発者 / 英語多読実践者
英語多読歴3年。自身の多読経験から生まれた課題を解決するため、YouTube×AI多読サービス「Ta-doku」を開発・運営しています。
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